信号が人を左右する

とあるゲイの雑記です。何も遺せないので、せめて思ったことくらいは

分化型マーケティングと集中型マーケティングについて

 

こんにちは。うれたんです。

先日仕事で「君、経済学部出身でしょ?セグメントマーケティングも勉強した?」と聞かれたので、「覚えてません!」と答えたらしらーっとした空気になりました。

ぐぬぬとなったので、勉強しなおしです。

 

 

 

 

市場細分化について

定義

先に市場細分化について説明しなくてはならないと思います。

和田他[1996]によれば、

「市場空間を細分化してみることの前提は、市場がひとつではない、市場需要が同質ではないということである。したがって、ひとつの市場空間を見た場合、それは異質需要の結合体であると認識することが市場細分化の始まりである。」*1

とあります。

それまで主であったマス・マーケティングは不特定多数・同質需要に対応していましたが、「作れば売れる」という仮説は徐々に力を失い、「売る相手のことを知る」ということが重要になってきたため、市場細分化の必要性が高まってきたという話です。

セグメントについて

市場空間が細分化されると、セグメント・マーケティングが重要になってきます。ここにおけるセグメントは様々な軸で区切ることができます。

久保田他[2013]によれば、セグメントを規定する代表的な変数として、

  • 地理的変数
  • 人口統計的変数
  • 社会文化的変数
  • 心理的変数
  • 行動的変数

の5カテゴリーに分けられるとしています。

地理的変数には地域、都市規模、人口密度などがあり、人口統計的変数には年齢や性別、所得、職業などがあります。社会文化的変数には文化、宗教、人種等が挙げられ、心理的変数には知識や求めるベネフィットなどがあります。行動的変数は極めて重要な変数であり、セグメンテーションにおける行動的変数とは、製品やサービスの使用行動に関する変数です。

しかし、セグメンテーションは創造的な作業であり、一般的な変数にだけ頼っていては強みを活かすことは困難であることは念頭に置くべきだとも述べられています。

このように市場が細分化され、個々のセグメントに分けることができれば、その具体的な戦略としての分化型マーケティングや集中型マーケティングを実行していくことが可能になります。

 

分化型マーケティングについて

分化型マーケティングとは

まず、分化型マーケティングについて説明したいと考えます。

ここにおける分化型マーケティングとは、

「市場細分化を前提としながらも全市場空間に対応すべく、それぞれの市場細分に対応したそれぞれのマーケティング・プランを作成し、複数のマーケティング・プランの実行によって全市場空間をとらえる戦略である。」*2

と述べられていることを前提としています。また、このタイプのマーケティング戦略経営資源の豊富な大企業以外には難しく、リーダー企業が行うことが多いとされています。

ナイキの事例

ここで具体的な例を用いてみたいと思います。

今回分化型マーケティングを行っているのではないかと考えた企業はナイキ(NIKE)です。ナイキは主にスポーツシューズを製造しており、スポーツメーカーの売り上げでは世界トップを誇っています。

 

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図1 世界のスポーツメーカーの売上比較

 

*3

 

これより、ナイキは世界トップを走るリーダー企業であり、分化型マーケティングを推進しているのではないかと考えたため、取りあげることとしました。

次に、実際はどのようになっているのかを見ていきたいと思います。

ナイキの得意分野とするスポーツシューズ市場は、主にそれぞれのスポーツ用の靴の需要があり、例えばバスケットボール用シューズのセグメント、サッカー用シューズのセグメントに分けられるのではないかと考えました。

また、さらに細分化するなら人口統計的変数として性別なども加味されるべきと考えます。

ナイキのHPより商品ラインナップを見ると、「ライフスタイル」、「ランニング」、「バスケットボール」、「サッカー/フットボール」、「トレーニング」、「ベースボール&ソフトボール」、「ゴルフ」、「スケートボード」、「テニス」、「陸上競技」といったそれぞれの利用シーンに合わせたシューズが展開されており、またMEN、WOMEN、BOYS、GIRLSといったように年齢別にも各々展開されています。

これらのことから、ナイキは様々なスポーツに向けてシューズを展開しており、各セグメントに対し各々マーケティング戦略を打ち出しているのではないかと考えます。

 

集中型マーケティングについて

集中型マーケティングとは

次に集中型マーケティングについて述べたいと思います。

市場空間全体に対応するという分化型マーケティングとは異なり、特定の市場細分に集中し、市場の一部をターゲットとするのがこの集中型マーケティングです。

ゲイバーを例に

僕にとっての身近な具体例として、ゲイバーの事例を用いてみたいと考えます。楽しそうでしょ?

ゲイバーは基本的に男性同性愛者(以下ゲイ)のみが利用するバーのことであり、マイノリティであるゲイが普段成し得ないコミュニケーションや情報交換を図るために足を運ぶ場です。

誤解も多いため一応述べておくと、ゲイバーにおいて性的なサービスは存在しないし、それを求める客も存在しないと考えてください。ゲイバーに対するニーズとしては、日常生活で話すことができない悩みを話したり、友人や知人を増やす目的があると考えます。

ゲイバーに求められるニーズはおおよそ共通ではありますが、各ゲイバーにはそれぞれ特色があります。

例えば、「20代向け」、「30代向け」といった年齢によりメインとなる層が定められていたり、体形によって分けられていたり、それぞれ似たような人物が集まる傾向にあります。

ここで、マーケティングの結果そういった特色を持つことになったのではなく、”たまたま”そういったセグメントの人々が集まった結果、ボリューム層が決まってきたのではないか?という疑問が生じると思いますが、それは違うと僕は思います。

一般的な店舗を経営する際にはやはり顧客を絞り込むことが重要となります。飲食店ならば、性別や喫煙の可否、収入といった軸でセグメントを決めていかなくてはならないでしょう。ゲイバーにおいてもそれと変わらず、オープンした際にはすでにターゲットとなる顧客層をある程度決めているのではないでしょうか(実際のところはわかりませんので、店主の方、教えてください)。

店舗を宣伝する際には主にインターネットやフリーペーパーが使われると思いますが、そこには客層(メインターゲット)が書かれていることが多く、店主のビジョンが色濃く反映される店になっていく印象です。

 

それぞれの店において特定のセグメントに集中することで、よりきめ細やかなサービスを提供することができます。

このように、集中型マーケティングにおいては得意とする分野、強みを持つセグメントに資源を集中させることでピンポイントなニーズを掘り起こし収益を得ることができる可能性が存在します。これはニッチな市場においてよく見られ、うまく運べば高い収益性を得ることができます。

 

まとめ

市場細分化という概念が生まれたことで、市場空間をセグメントに分けてマーケティングを行うことができるようになりました。

その中身として、全市場をセグメントに分けて各々マーケティング・プランを実行するという分化型マーケティングや、ある特定のセグメントに集中・特化することで収益を得るという集中型マーケティングが存在します。

また、これらは市場の中で企業がどういった位置取りをするのかによって選択されうるといえます。

 

もうあんなしらーっとした空気にはさせません。絶対。

 

参考文献

・和田充夫、恩蔵直人、三浦俊彦[1996]『マーケティング戦略有斐閣アルマ。

 

久保田進彦、澁谷覚、須永努[2013]『はじめてのマーケティング有斐閣ストゥディア。

 

NIKE JAPAN HP(http://www.nike.com/jp/ja_jp/)2020年4月14日最終閲覧。

www.nike.com

 

週刊ダイヤモンド編集部2014年2月5日付け『DIAMOND online』「【企業特集】アシックス 世界第3位を射程内に捉える日の丸スポーツブランドの野望」(http://diamond.jp/articles/-/47733)2020年4月14日最終閲覧。

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